片手を失った男(女かもしれないけど)

我が家の激烈狭い庭の生態系の中で、食物連鎖の最上位群にいると思われるカマキリにも敵がいたと知ったのはかれこれ二ヶ月ほど前かな。
ふんぞり返って暮らしていたカマキリ(たぶんチョウセンカマキリ)の片腕が途中からちぎられているのを発見したのだった。
誰にやられたのかと考えるに、うちの庭にいるメンバーだとカナヘビやトカゲという可能性もなくはないけれども、あれだけでかいカマキリがやられるかな。しっくりこない。

うちにはぼーっとしているとはいえ猫がいるので鳥たちは庭の中まではほとんどこない。が、その時期、やたらと狩猟に励む雀が一羽いた。急降下してきて6-7cmほどの小さくはないバッタを咥えて飛びさるなどという、私が抱いてきた雀のイメージとはかけはなれた行動をするやつ。ワイルド・ワン。あいつにやられたのかもな、と思っているわけですが、本当のことはわからない。

片手を失ってからも件のカマキリくんは逞しく生き延びていた。大きめのツマグロヒョウモンを片手でささっと捉えたりしていてびっくり。
普段はいろいろな昆虫が集まってきやすいブッドレアに陣どっているのだが、台風がきたりするともっと葉の密集した植物の中に潜りこんで凌ぐというような賢いスタイル。毎週台風がきていた時期があったじゃん。晴れるとブッドレアに颯爽とあらわれ、天気が怪しくなるといなくなるということを繰り返していた。自然界に生きるものとして優秀なんだな。

ところが、この金曜からいよいよ姿を見なくなった。もうそろそろ寿命だったのか。それだったらしょうがないんだけれども、ちょっと寂しいな。毎朝、その姿を探してしまう自分がいる。