エッシャー展に行ったのは中学生の頃だったような記憶なんだけれども、そのときに買ったはずの大判でそれなりの厚さのカタログ(いや、ハードカヴァの書籍だったかも?)がみつからない。ま、いいんだけれど。
その後、80年代には『ゲーデル、エッシャー、バッハ』という本がちょっと話題になり、それを読んで、やっぱりエッシャーはおもろいな、と思ったものの、それきりで通り過ぎてきた。
私のエッシャー体験なんてのはその程度のものなのだが、一方で、同じものを眺めても、科学的態度で取り組む人はいるわけですよ。それがこの著者、ふたつ歳上の近藤滋。私のような盆の暗い人間とのちがいが顕著に出ますなあ、などと思う次第。こういうアプローチできたか。ふむふむ。
エッシャーをそういう目で捉え、考え、解き明かしていくことを目指した作品。もしかしたら、エッシャーの謎解きの、世界最先端かもしれないこの本は知的好奇心を十分にくすぐってくれる。
彼の本来の研究であるところの生物の形態や模様に関する書も楽しかったけれども、このエッシャー本の方がよりとっつきやすく、素人にもエンジョイしやすいな。機会があればぜひ手に取ってみてくださいませ。
いやあ、エッシャーはやっぱおもろいなあ。滋やん、いい本、書いたなあ、なんて思いつつ。