思い出したことをもうちょっと書いておこう。
曲が選ばれたのは良かったんだけれど、当時のうちの機材と私のレコーディング技術ではちょびっと不安があった。それで、むらたに連絡したのだった。あさがやんずの80年代後半のキーボードね。
彼は当時すでに超がつく売れっ子ミュージシャンをプロデュースする立場で大忙しだったはずだが、協力を快諾してくれた。えらいね。
歳下ってだけで横からわあわあ言われながらの作業はやりにくかっただろうなと思うけれども、まあ、そういうところは巡り合わせってことで諦めてもらおう。
実はこの “Voices in the Air” のギターを弾いているのはむらたである。私自身ギタリストであるので自分で弾くのが筋ではあろうけれども、気持ちよく協力してくれた彼をはっきりした形でフィーチャーしたかったんだな。それに、そもそも私よりギターが上手なんですよ。
同じ道具を使っていても、他の人の作業を見ることによって発見することというのはいろいろある。その制作の過程でむらたがloopを扱う手際を目にして、私はようやくloopってものの使い方をわかったような気がした。
その技術的な実験の意味合いでloopを使った作品群を作ってみようと始めたのが BakaNeko Project なのであります。
実際のところ、結局はloopを切り貼りするよりも自分で打ち込む方が楽だなってことの連続で、いまだにloopの扱いは得意ではないんだけどさ。
この『September Rising』で協力してもらったところから、また一緒に呑む機会ができてきたりした流れで、Misaco + Otherzへの参加、あさがやんずレコードの設立へと繋がっていくのであります。
世の中、何が起こるか、意外で面白いもんだよね。