ネッツァーに憧れていた。

子どもの頃、ギュンター・ネッツァーにすごくすごく憧れていた。当然のことながら、ジャージはプーマ、バッグもプーマ、スパイクはネッツァー・スーパーってな具合に外面からも寄せていた。幼稚だな。ネッツァーのプレイに心酔し、自分で点を取るよりも得点に繋がるような華麗なロングパスを決めるのがいちばんかっちょいいぜ、などと思っていたものであります。そんなサッカー少年だったわけ。だからといって、一途に打ち込むというようなことはなく、練習嫌いなうえに守るのも好きではなかったので、そのあたり手を抜きがちであったように思う。当時のチームメイトの諸君、たるんでいて申し訳ありませんでした……などと今さら謝ってもどうにもなるものではないけれども。ディフェンスだって重要なのである、ということを理解はしていたんだけどね。

ディフェンスが重要なのはサッカーの世界だけではない。日本は専守防衛というディフェンス・オンリーでいきますわよ、みたいなスタンスで長いことやってきている。これと戦争放棄をうたう第9条のおかげで戦後80年近く比較的平和な国だったといっていいんじゃないかしら。

ところが、近頃、反撃能力というまやかしの言葉で包んで先制攻撃をできるようにしようとしておる連中がいる。はっきり言って、あんたたち、イカれてるぜ。せこい言い訳で一部の国民は騙せても世界の国々は見逃してはくれませんよ。おっと、日本は先制攻撃の準備はじめてんじゃん、じゃあ、こっちもかましてやらないとな、ってなことになる可能性が高まるだけで、いいことは何一つない。そんなことより、9条堅持、専守防衛の方針維持、近隣諸国と仲良くしよう、これに尽きますよ。

勇ましいこと言う人には気をつけよう。近頃、ますますそう思う。うむ。