お誕生日会・飴湯・沖縄返還

1972年の5月15日、友だちのお誕生日会に招かれ、プレゼントを渡したりケーキを食べたりってな、オーソドクスなお祝いに参加していた。小学5年生。そこそこの人数が集まって。

トイレにたった帰りだったか、そこのお母さんに声をかけられて、みんなとは離れて二人で食卓でテレビを見ることになった。お父さんが出張のお土産に買ってきたという飴湯という飲み物をいただいた。生姜の香りのする甘いもの。

お母さんは「やっと沖縄が日本に戻るのよ」というようなことを呟いていた。知識不足の私にははるか彼方の出来事のように思えたが、とてもとても重要なことがいま起きているんだなということは直観できた。だからこそ、一緒にテレビを見るように誘ってくれたんだなということも感じられたのでありました。

半世紀たった今でも、友だちのお誕生日会、飴湯、沖縄返還、この三者が結びついた記憶として私の中にあり、毎年、5月15日にはもやもやとした不思議な気持ちになる。

あの日から短くない時を経て、変わったことはたくさんある。
日本がワールドカップに出るなんて思いもよらなかったし、iPhone片手に街中でへらへらしながら外国とコミュニケイトできちゃうなんてなことも。戦後だ戦後だと言われていたのに、いつの間にか戦前のように感じられるようになってきていることもそうだろう。

さて、沖縄はどうだろう。50年たったいま、どう変わったと言えるのだろう。