ファンテイル+立花秀輝、透きとおった10月の夜に。

一目で気に入る人、音楽家っているじゃん。ファンくんもそんな一人。吉祥寺の道端で紹介された時から、きっといかしたギターを弾くんだろうな、と直感した。で、実際、うん、いい演奏をする。

昨夜のファンテイル+立花秀輝のデュオ。非常に面白かったですよ。

最初のセットではそれぞれの曲を演奏したわけだけれど、「Prism」の空間の広いゆったりした世界もよかったし、「ジャンボ」の7拍子が時々ずっこけるライヴ感もよかった。さらに良かったのが「ヤキマンカ・ポリス 23時」。その、黒くないファンク感は、ぼうっとしているとどうってことはないのに風が吹くと突然に震えるほどの寒さを感じる夜空にすごくフィットしていたように思う。帰り途に思い出して強くそう感じた。いい曲だな。

後半は長いインプロヴィゼイションのセットだったんだけれど、こちらは寧ろ安心して聴けるような調和が全体を支配していて、善くも悪くも、スリルがおおはばに不足していた。期待通りに、というのか、予想通りにというのか、お互いに寄り添ったり、棲み分けたり、それそれはそれで見事であるというべきなんだろうけれど、ぶつかったり、仕出かしたりするような緊張感を期待していた私がいる。それが物足りない印象になったかな。
この進行は渋さ知らズにある流れだな、と感じた瞬間も少なくない。2人ともメンバーなのだからして、それは当然のことだとも言えるんだけれどね。

そうそう、一昨日呑んでいたジャズ・バーで「いま日本で一番恰好いいアルトは立花秀輝だよ」と随分吹いてきてしまったので、暫く振りにみる演奏がそこそこだったりしたらどうしようと思っていたんだけれど、素晴らしい演奏でぐいぐいきた。良かった。

何はともあれ、このデュオを、あるいは、それぞれの活動を、また観たい気は満々、楽しい気分で、斜向いの焼き鳥屋に流れ込んだ夜。