山本直純・古今亭志ん朝・佐藤信夫

録画してあった志ん朝特番をみて、暫くぶりにこのアルバムのことを思い出し、引っ張り出してみた。『山本直純フォーエヴァー』。
この2枚組の1枚目の後半がプロコフィエフの「ピーターと狼」なんですよ。山本直純指揮、日本フィルハーモニーに語りが志ん朝。その志ん朝の原稿を書いたのがうちの親父という変てこな組み合わせ。
ライナーに山本直純・志ん朝・佐藤信夫が談笑している写真が載っている。さすがに若いな。
落語と外国語と音楽と、全部いける人ってことで江川三郎さん(オーディオ評論家)が推薦したみたい。佐藤信夫は高校生のころからオーディオ系の雑誌に原稿やイラストを書いて家計を助けていた人なんですよ。そのあたり、経済的生産性が著しく低い私とはおおちがいですな。そんな流れで、その界隈繋がりの友人も少なくないんだよね。江川さんは西高の同級生でもあり。

1967年当時、この公演はテレビでも放送されて家族でみたのを覚えています。再放送もあったような気がするな。
プロコの曲自体がいいのは言わずもがなだけれども、志ん朝の語りも実にいい。落語好きならよく知っているような定番ものが散りばめられているし、どこまでを信夫氏が考えたのか気になるところ。まあ、本番までに志ん朝師匠と綿密に擦り合わせたんでしょうけどね。オーケストラとの噛み合わせがある以上、かなりきっちりとした台本が出来上がっていたはずだから。

何はともあれ、万が一、聴くチャンスがあればどうぞ。それなりにエンジョイできますよ。

ライナーにもきちんとクレジットされているけれども、これがレトリックの佐藤信夫と同一人物だってリンクしている人ってどのぐらいいるんだろうな。ひいては、ELECレコードの初期メンバーの一人だったことなんぞも。孰れにせよ、彼の中心にあったのは極めて真面目な学者としての姿ではありましたがね。