「焼け焦げた海の種馬」

昨日の「焼け焦げた海の種馬(石原岳+坂田明+ファンテイル+関根真理)」のライヴ、今年みたあれこれの中で一番おもろかったですよ。いや、本当に。

フリーのセッションというのは、今となっては、非常に古いフォーマットになってしまっているわけで、それ自体が何か特別なものではなくなっています。というか、もはや、あ、フリーなのね、ぐらいな感じさえある。

私が目撃した限りの多くの場合、いいところもあればつまんないところもある。ま、その間を往ったり来たりというようなところが通常の着地点なんじゃないかな。

そりゃ、そうなわけですよ。いきなり複数の人間が楽器を使って音と心を交わすわけ。あちらこちらで齟齬が生じたり、縺れたりするのが当然だとも言える。そして、そんなところまで含んだところがライヴの面白さであります。実際問題、私はライヴの現場での事故は嫌いではないし、安全な地点で上手に演奏することに魅力は感じない。根がパンク育ちだからですかね。

加えて、私自身の嗜好との兼ね合いもあるしね。

ところがですよ、この「焼け焦げた海の種馬」、初めから終わりまで、ほぼほぼ恙なく良かった。観客である私たちも含めて。なんなら、カウンターでマイヤーズ・ソーダを作り続けてくれた女の娘まで含めて。

とにもかくにも、大仰な物謂いをすれば、小屋の中で音と人とその魂が感応して何かが起こっていた。それもすごくかっちょいい方向に。

最後の最後に坂田明が全部持っていってしまった感もなくはないけれども、そんなことまで含めて、そこにいた全ての人々が共有した時間と空間に感謝したい。そんな気さえするライヴでしたよ。

フリーで演る意味ってあるよな、と心の底から思える夜だった。