個人情報の壁

一昨日の午後、米寿も超えた伯母さんから電話があり、歩けなくなったから救急車を呼んだ、行き先が決まったら、また連絡するから自宅で待機していろ、ということでした。口もそれなりにきちんと回っていたので、持病の股関節とかそんなことなんだろうか、と思いつつ、待つ。

待つ。

待ったけれども、夕方になっても連絡がなく、運ばれる可能性がありそうないくつかの病院に問い合わせてみると搬送されてきていない、とのこと。友人のお医者さんに相談してみたり、じたばた。

119にかけてみても、個人情報に関わることは一切出せない、と。救急車を出してくれた管轄の消防署にかけても条例が厳しくて個人情報は出せないってな話で埒が明かない。家族の誰かに搬送された病院から連絡があるはずだ、という感じの対応ね。

最終的には翌朝になって、どうにか情報を獲得することに成功してなんとかなったわけですが、この個人情報の壁というのはなかなか手強いですね。

実際問題、万が一、私がわる〜いやつ、詐欺師だったりストーカーだったりって可能性もゼロではないわけで、そこから事件に発展した場合、情報を伝えたことが責任問題になる。それはわかる。なんだけどさ。ねえ。

今回の場合、当人がそんな重篤じゃない状態だったから良かったものの、個人情報の壁に阻まれて死に目に会えなかった、なんてケースもありそうだと思います。

なので、単身で住んでいる人は財布の中にでもいざって時の連絡先やら何やらを常備しておくべきではないかな。病院なり、救急隊なり、警察なりから連絡が行くように。

私の場合、伯母と甥って関係だったわけですが、身分証明できるものを提示しても同居していない限り、それじゃ関係性を確認できないわけです。住民票ぐらいじゃ役に立たない。

で、その時にそれなりに効果があったのが、封書です。差出人(伯母)と宛先人(私)とは他人ではないってところはわかる。文面の内容もチェックしてもらって距離感もわかる。

それから、今回のような場合、病院に問い合わせるに当たって、Aさんは入院していますか、なんて尋ねると、個人情報なのでって軽く突っぱねられる確率が高い。

身分姓名を名乗ってから、Aという者が救急車でそちらに搬送されたと思うんですが、その後連絡がなくて心配している、と鎌をかけるぐらいの勢いの方がいいかもしれません。ちょっと罪悪感がありますが、安否不明なまま放っておけないし……。

結果的には、病院側でも家族を探していたということで、お互いにとって良き結果になったわけですけれどね。

そんなこんなで、入院後の手続きやら何やらもこなすことができたわけですが、いやあ、これ、難しい問題だなあ。高齢化社会で独居率も高まるだろうし、あちこちで発生しますよ。

なんてなことを思いつつ。